■朝8時起床。
冷蔵庫のサラダチキンとナッツを頂きながら読書。
Aちゃんの応答を待つ。こんな時間にAちゃんが起きて行動出来ていたら奇跡。
駄目だったとしたら、喫茶店で読書しよう。
■当欠癖の激しい推しを持つと、保険の予定を計画する癖がつく。
推しが当欠して「今日はお金が浮いたな」と1ミリでも考えてしまったら推しとの終わりは近い。
■奇跡が起きる。
Aちゃんから「既に電車に乗り向かっている」と連絡。
よしのさん、キルアさん、あぽろさん、ならこれが当たり前だが。
推しの「当たり前」と「奇跡」を白のパンダのようにどれでも全部並べて。
こちらも家を出発。
■Aちゃんよりも30分前に待ち合わせ場所到着してしまう。
近くの喫茶店にて、アイスティー飲みながらKindle。
iPhone充電ケーブル忘れた。
Aちゃんの場合、電車に乗っていても油断は出来ない。
体調不良や気の迷いで来ない可能性も充分頭に入れておこう。
■Aちゃんの「着いた!」連絡を信じて、喫茶店を退室。
電車が出るホームに向かう。
駅員に時刻確認していると、Aちゃんが背後に居た。
姿を拝めるだけで有難い。
■片道1時間半掛けて電車を1つ乗り継ぎ、山奥へ。
Aちゃんは行きの電車でAirPodsを耳に入れYoutubeを観ていた。
到着。
…まさかの大雨。
■駅で大雨に唖然としているとAちゃんから「喉乾いた」と言われ、駅にある唯一の喫茶店へ。
雨宿りを考える事は皆同じ。激混み。
ここでも飲みなくないアイスティー再び。
■沈黙。雨音が窓を打つ音、周囲の喧騒。
Aちゃんと話題が何も無い。
こんな時間掛けて山奥まで来て…何もできない大雨。テンション下がる。
しかも隣席が「うーうー」と奇声を発してしまう系の男性。テンション大暴落。
雨音だけが強くなる。
■お互い話題を見つけねばと捻り出したものが、店の近況報告。
顧客がキャストとの話題に詰まった時は、共通の話題である『キャスト・店番』について、話したくもないのに話す事があるかもしれない。
■雨が止む。助かった。タイミング良く、バスが到着。
バスに揺られて30分。
■目的地到着。しかし…ここのバス停から4キロほど歩く。調査不足。
蒸し暑い。しかも山道は虫がいる。
こんな歩くと想定しておらず、お互い歩きにくいサンダル。
Aちゃんのサンダルが壊れる。靴擦れも痛そう。
ミンミンミンミン…と頭上から降り注ぐセミのオーケストラ。
何だこの地獄は…。
■ようやく目的地到着するも、まさかの
「本日営業は終了しました」
Aちゃん「嘘でしょ」
移動に時間を費やしすぎた。私たちの関係も終了の予感。
■近くに鍾乳洞があったので、サンダルで向かう。
鍾乳洞に入った瞬間、汗が一気に冷やされて風邪をひきそう。
鍾乳洞を順路に沿って進むも、滑りやすい床と急な階段に疲労困憊。転げ落ちたら骨折必須。
■天井からは水滴がポタポタ落ちまくり、頭と服が濡れる。
濡れた個所が鍾乳洞の冷気で容赦なく冷える。
気合いで鍾乳洞脱出。
鍾乳洞の冷気から解放されるも、外は湿気混じりの灼熱。
再び「暑さ」のターン。
■この寒暖地獄に耐えながら、再び4キロ先のバス停まで歩く。
移動だけで共に過ごす大半が終わる。これが本当のお散歩。なんて言っている場合か。
この罰ゲームを考えた人が居たら天才だ。
日頃の行いが悪いからか?日頃調子に乗りすぎてるからこんな目に遭うのか?
■途中、屋台のカキ氷がありイチゴシロップで頂く。
氷で胃袋が刺激されたからなのか、突如、足が震えるほどの空腹が襲う。
予想以上に体力を消耗していたようだ。
フランクフルト2本追加。
Aちゃんがフランクフルト2本に興奮してしまい「ここは私に任せて」と謎の男気発動。
井村屋あずきバーCMの速さでフランクフルト2本即完食。
手品を見せられた気分。
■カキ氷があっという間に溶けて、ストローで甘い氷水を吸いながら山道を汗だくで歩いていると、スズメバチが襲ってくる。
■スズメバチを早歩きでやり過ごそうとするも、不気味な羽音がしつこく纏わりついてくる。
Aちゃんのヒラヒラしたワンピース、香水、甘いカキ氷のシロップ…それらがスズメバチに刺激を与えているのかもしれない。
■何とか刺されずにやり過ごすも、早歩きで逃げ回ったので息が切れる。
汗が噴き出すAちゃん。今なら無料で泡風呂オプションしてくれそうなほど体がベトベト。
バスの時間を考えておらず、バス停に着いた時は16時台のバスが終わっていた。
17時台のバスを約1時間待つ。
■暑さと疲労と呆れで言葉が出ない。
座る場所がなく、郵便局横の自動販売機でお茶を購入し、郵便局入り口前の階段に座り込んで休憩。
ピーヒョロロロ…
トンビの鳴き声。
空高くに飛んでいるのかと思いきや、急降下して荷物を奪おうと襲ってきた。
何も食べ物は入っていないのに、人間の荷物に食べ物が入っていると学習済らしい。
スーファミソフト『川のぬし釣り2』なみに虫や動物とエンカウント。
■郵便局前からトンビに追い出され、バス停で立ち尽くす。
ようやくバスの到着。
ガタガタした道を揺られながら、駅に戻る。
電車の時刻を見ると、次の電車が20分後。
■20分程度なら余裕で待てる。しかも駅内。
再び雨宿りした喫茶店へ自分からAちゃんを誘おうとするも、Aちゃんが「駅周辺を散策したい」と言い始めた。
20分後には電車が来るというのに元気。
■駅近くには、出し巻き卵の小さな店と、居酒屋があった。
Aちゃんは「ここの居酒屋に入ろう」と言い出す。
なんだそりゃ。
さっきフランクフルトを2本Wフ**みたいに食べて1口しかくれなかったのに。
■「ええい!」と半分やけくそで居酒屋の暖簾を潜ると、目の前がいきなりカウンター。
席は5席。狭さは7畳ほど。
ワンコンロのキッチンには、笑顔のおばちゃんが1名。奥の畳部屋にもっと笑顔のお祖母ちゃんが1名。
カウンターには、いかにも山を登ってきましたという40代の男性が1名。
うおおおおおおおおおおおおお!なんて狭い居酒屋なんだ!何だこの空間は!!!!
ここまでカオスが重なると夢心地。
■顔色一つ変えずカウンターに座るAちゃん。
壁に釘で打ちつけられた木札には、ドリンクとフードのメニューが書かれている。
Aちゃんはお酒が1滴も飲めない。
笑顔のおばちゃんにAちゃんが次々と料理を注文。
おにぎり3つ、馬刺し、カキフライ、オレンジジュース。
私は烏龍茶を注文。
■瓶ビールを3本開けていたカウンターの男性が私たちに話しかけてくる。
登山男「今日は何ですか?」
桑田「観光です。釣りをしたかったのですが、営業時間が終わっていました」
登山男「そいつは残念。で、何をしてきたの」
桑田「そこの鍾乳洞へ行ってきました」
登山男「へぇー。鍾乳洞は観光客多かったでしょう」
桑田「15人くらいですね」
登山男「えぇ~土曜日なのに少ないね…今日は。ねぇおばちゃん」
おばちゃんは料理を作りながら、ニッコリ微笑む。
■登山男「東京のどこから来たの」
桑田「池袋です」
A「私は***です」
登山男が釣りの話題を振ってくれたので、桑田は拙い釣りの知識で受け答えする。
Aちゃんが地元の話題を出し、海の話題で盛り上がった。
畳に座っていたお祖母ちゃんがAちゃんの地元と近いらしく、嬉しそうに懐かしそうに話す。
■Aちゃんはオレンジジュース、私は烏龍茶、登山男はビール、おばちゃんとお祖母ちゃんは謎の飲み物。
何故か統一教会と安倍元総理の話題で盛り上がっている所に、若い夫婦が「やってますか」と入店。
荷物おきになっていた椅子をあけて「どうぞどうぞ」と受け入れる。
ここまで店が狭いと強制的にコミュニケーションが始まる面白さ。
行った事は無いが、バーやスナックもこのようなコミュニティなのだろう。
■若い夫婦はTwitterで流れてきた川下りの格安ツアーに参加したらしい。学生時代から何度もここに来て自然を満喫しているそうだ。
奥さんの方はJKMAXいくらちゃんをサバサバした感じ。旦那さんの方はYoutuberヒカルを一回り小さくした感じ。
私たち2人の関係は何に見えただろう。
■このエリアの先輩3名と住人2名から『次来たらどのように遊べば楽しいか』を狭い居酒屋カウンターでレクチャー受ける。
私たち2人が経験した今日の失敗を全て皆に話す。大爆笑。
Aちゃんも口元を抑えて笑う。笑いながらおばちゃんに作って頂いた料理を食べる。美味しい。もう終わった失敗談をツマミに箸が進む進む。
■Aちゃんに「またリベンジしよう」と伝えると、嬉しそうに頷いていた。
2度と来たくないであろう出来事ばかり起きた今日1日。
どの口で「リベンジしよう」なんて言うのか。
Aちゃんから呆れた表情をされてもおかしくないのだが、Aちゃんの優しさと心広さに救われる。
そしてこの居酒屋で出会った全ての人に感謝。
■お祖母ちゃんが「隣の店がオープンしたばかりだから」と、隣店に焼き鳥を注文してくれた。
それを私たちに奢ってくれる。有難い。嬉しい。
今日は出せる料理が少なかったから、とせめて御好意を頂く。
こんな事されたら絶対にこの店をリピートしたくなる。感動。期待以上のサービス。それこそがリピートの決め手。
■散々な結果で終わりそうだった今日一日。Aちゃんの行動力でココの居酒屋へ入ったことで、一変。心が温まる。
■民泊の楽しさを教えて頂く。
1人で気軽に生きていたら、そんな楽しみもあるのか…。やはり男は結婚なんてするもんじゃない。自由こそが人生の全て。大自然と大自然に戯れる男女達と接していればそう思えてしまう。
■おばちゃんに電車の時刻を教えてもらい、ギリギリまで居酒屋で過ごした。
皆、去り際も温かい。また早くここに来よう。次はもっと自然を満喫してから。
■人と人との出会いは一期一会。もうこの居酒屋で出会った人たちとは2度と会えないかもしれない。
顧客とキャストの関係もそうだ。1度きりしか会えなかったあのお客さんは今どこで何をしているのだろう…。そんな相手はごまんといるはず。そして奇跡の再会が出来た時の嬉しさは格別。
キャストはお客様の事を待つ事しか出来ません。是非、また会ってあげてください。
■帰りの電車。
Aちゃんが再びAirPodsを両耳に入れる。
Youtubeを観ているのかと思って横目で確認すると、コクリコクリと眠っていた。寝顔も可愛い。
■乗り換え。特急券を買わず特急に飛び乗る。Aちゃんがため息。
速攻で乗務員に見つけられ、乗車券を払った。
Aちゃんからは優先座席に座ろうとしたら手を引っ張られたり、マスクをしない事を呆れられたり、散々注意受ける。
■涼しくて快適な特急
Aちゃんが「次に行きたい所」を送ってくれた。
まさかのまた自然。これだけ散々な目に遭ったのに、また自然。
ドMなのか。
■集合した駅で解散。
グダグダお散歩。終わってみれば、全てが強烈な思い出になり楽しかった。
Aちゃんはどう思っただろう。
■結論
ここまで最悪の状況が続いても、結果として楽しめる関係性。
そんな関係性を推しと作れているなら幸せだ。
推しの全てを受け入れ、推しの全てを許す。そして推しにもそうして頂けている。
これからも推しとお散歩に行きたい。推しと離れる事は考えられない。推しのために推しを推し尽くそう。